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古い街並みに馴染む懐かしさとみんなが集う家を|山形県寒河江市

昔からの住宅街での家づくり。
周りの雰囲気に馴染む、
新しいけど昔ながらの家のような
懐かしさのあるこだわりの家。

所在地:山形県寒河江市
家族構成:ご夫婦&お子さま2名
延床面積:140.78㎡
着工:2017年12月 /竣工:2018年6月

古い街並みに馴染む
みんなが集う家を

昔から、私も主人もお互いに友達が家に遊びに来ることが多かったんですが、主人の両親と同居していた頃は家に友達を呼ぶことがなかなかできませんでした。
家に友達を招いて、みんなで遊んだり一緒に食事をしたりすることが好きだったんだけど、両親の生活する空間を気にするとそれがすごく難しかった。

家を建ててからは、気兼ねなく友達を家に招くことができるようになりました。
友達家族を招いて、1階で大人たちが食事や会話をしているあいだに、2階のホールで子供たちが遊んでいたとしても、子供たちの気配をいつも感じることができるので、例えば子供同士でケンカが始まったりしてもそういう異変に気づいてすぐに声をかけることができます。
家族の気配をいつも感じられるような間取りになっているので、今はこの間取りを最大限に生かせていると思います。

将来的には、主人の両親と同居する予定で間取りを考えていただきました。
以前も両親と同居していましたが、その頃の主人とお義父さんは言葉を交わすことがとても少なかったんです。
私たちが家を建てることになり、将来的にはまた同居したい、そのつもりで間取りを考えて家を建てたいと両親に話したときにはすごく喜んでくれて。
それからは家のことを相談することも多くなり、家を建てることがきっかけとなって今では同居していた頃よりも主人とお義父さんの会話がすごく増えましたね。

■二つの吹き抜けを繋ぐ子どものプレイルーム。何をして遊んでいるのか家のどこにいても聞こえる。

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家づくりを黒田工務所に依頼された理由はなんだったんでしょう?

家づくりをはじめるにあたり、いくつものハウスメーカーを巡りました。ぐるぐると回りに回ったハウスメーカーと工務店の数は、最終的に30近くにものぼったのではないでしょうか。しかし、自分たちが望むような家づくりをやってくれそうなところはひとつもありませんでした。

おそらく、そうした一般的なハウスメーカーというのは、最初からそれぞれに売りたいものがあらかじめ用意されているので、私たちの要望を取り入れていくためにはそういうものを省くことになるので嫌がられたり、オプション扱いになって高くついてしまったり、ということが起きてくるんですね。だんだんとそういう事情がわかってきてどうしようかと悩んでいるときに知ったのが黒田工務所さんでした。

私たちの要望というのは、ひとつには主人の両親と同居することを前提とした家であることです。共働きである私たちには小学生のふたりの子どもがいますが、彼らにはおじいちゃんおばあちゃんが一緒に暮らす家ですから、例えば、和室があることや、仏間があることや、仏壇の前で拝むことができること、というのも譲ることができない大事な条件になってくるわけです。その意味で、黒田さんは私たちの要望を先に汲み取ってくれた上で提案をしてくれるのがよかったですね。

■将来は仏間にする和室。小さな換気扇を付けお線香の煙を逃す工夫も。

衝撃的なほどに「欲しい!」と思える間取りを
実際にカタチにすることができた。

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望み通りの家づくり、というのは具体的にどのように表現されたのでしょう?

自分たちにとっての「住みよい暮らし」をカタチにしていくワークショップというのをやりました。自分たちが朝起きてからどんなことをするのか、どこがどうなっていると良いか、動線を明らかにしていくんです。そのプロセスを経ることによって立ち上げてもらった間取りが、衝撃的なくらい「これが欲しい!」と思えるものになっていました。

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すでにあるプロトタイプの間取りからの延長で考えるのではなく、自分たちの欲しい暮らしの動線から発想して間取りをつくっていくわけですね。

そうです。例えば、おじいちゃんとおばあちゃんと一緒に暮らす想定なので、介護を前提にした間取りは絶対条件です。トイレとお風呂と玄関は近くないといけません。浴室は広めで、手すりを付けることも必要。あるいはまた、玄関からすぐ近くに和室があるのも大事です。お客さまがいらっしゃったときとか、家庭訪問のときとか、お寺の住職がおいでのときとか。

■襖を閉めると生活空間をすぐに切り離すことができ、突然の来客にも対応ができる。

さらに、また、子どもたちと一緒に帰宅した自分がどういう動線になるかも考えました。「ただいま」って帰ってきたら、ランドセルやバッグを置くところがあって、洗面台でうがい手洗いして、すんなりと家のなかに入っていくイメージとか。子どもがやがて思春期を迎えたとしても、顔も見せずに2階に上がっていくようなことがないように、帰宅したらちゃんと顔を合わせる場所をつくって、半強制的にコミュニケーションを取らないといけない間取りにするとか。家族の誰かの気配がいつもどこかに感じられるものであるようにするとか。そうであっても、プライバシーを確保できるくらいの仕切りは用意するとか、などですね。

実際、今こうして暮らしていて、動線のストレスというのはほぼありません。家に帰ってきて、ごはんの準備して、食事して、片付けして、お風呂入ってっていうような生活のなかのひとつひとつの事柄が順番どおりにひとつひとつ進んでいって、最終的に一番遠いところにある寝室にたどり着いて寝るっていう流れが、自然とできていると思いますね。

■玄関を入ってすぐの廊下にはランドセルや学校の荷物を置く棚を配置(写真左側)

機能的に優れていることはもちろん、
街並みに溶け込むような雰囲気にも気を配って。

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とても機能的な間取りの、理想的な家づくりがなされたことがよくわかります。

そうですね。機能性のいい家になったと思いますが、外観や見た目的にも私たちの要望をしっかりと反映してもらっています。

この家は決して見た目的には「いまどきの家」ではなく、どちらかというとその反対です。このまちは寒河江市のなかでも古い昔からの住宅街なのですが。私たちが望んだのはそういうまちの風景に自然に溶け込むような家であることでした。だから最初は平屋を希望したくらいです。予算的に厳しいことがわかってそれは断念したのですが、それでも「なるべく平屋に近い形状の家」であることを黒田さんにお願いしました。

飾り気のあるごちゃごちゃしたものがあまり好きではないので、カタチもとてもシンプルなものに仕上がっています。特に屋根は一枚板のようになっていて、軒も大きく取られています。この家は長期優良住宅なのですが、黒田さんはこのカタチにするために構造計算でずいぶんがんばってくださったそうです。玄関はパッと一瞬見ただけではそれが扉だとわからないような特注の扉で、まるで忍者屋敷みたい。防犯の意味もあるのですが、少し遊びごころも取り入れてるんです。

■忍者屋敷の隠し扉のような遊び心と防犯の機能を持たせた特注の玄関扉

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満足のいく家づくりになった、ということでしょうか?

そうですね。知人から「3回家を建てないと納得いくものはできないよ」なんて言われたんですが、この1回で十分もう満足のいくものになりました。

自分たちの住みよいことはもちろんですが、親戚も集まるし、周りにいる古い友人も集まる家になって、ひとが集う家になったことは建てて良かったと思えることのひとつです。

でも、いちばん幸せに感じていることは、この家を建てたことで家族みんながひとつにまとまったということです。主人の両親も「自分たちが同居することを考えて家を建ててくれた」ととても喜んでくれましたから。家づくりをきっかけにみんながこれまで以上に仲良くなれた。それがなにより嬉しいです。

■プレイルームのすぐ下には家族のくつろぐリビングが。遊び心で採用した壁は友人たちにも評判がいい。

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